日韓トップテンショーはどんな番組だったのか?

日韓トップテンショーとは?

前身に「日韓歌王戦」があり各国内で予選を行い、上位者から番組に合う歌手選出し「どっちが上手いか?」という歌での勝負をした番組でした。

番組内では点数制の勝負でしたが、視聴者は自国歌手を優先することなく、歌や歌手への温かい応援コメントで溢れていました。むしろ、甲乙つけること自体が失礼だ!と言われるくらい、出演者と視聴者が変化をさせてしまった素敵な音楽プログラムに成長しました。

「日韓歌王戦」は、韓国語の曲と韓国でも曲は聞いたことがあるような日本の歌謡曲や、日本人でも年配しか知らない名曲を日本語で歌う番組で、韓国では絶対に無理と思われていたタブーをブチ破った音楽番組でした。
正直なところ始まる前、筆者は深夜番組でヒッソリ1~2回で終わるかも?と不安視していましたが、全く真逆の反応が韓国で発生し、日本の歌手が歌う日本の曲が感動や笑顔を届けられる、まさに新しいアジアの音楽番組として成功しました。

私達が想像する以上の高評価・大ヒットした番組となり、対戦形式より楽しく聞ける音楽番組へと変化して「日韓トップテンショー」が追走番組としてスタートしました。

日韓トップテンショーの功績

この番組は毎週2時間以上の番組として放送されました。韓国で日本語の歌謡曲が楽しめることが、日韓歌王戦から大きな反響となり、日本の名曲が毎週数曲ずつ歌われました。

「日本語がわからないけど、涙するほど感動した」「アイドルには無理な本当の歌番組だ」など、年配から若い人までがトロットとJPOP・歌謡曲を楽しんでいました。中でも松田聖子さんの「青い珊瑚礁」はこの番組がきっかけで韓国内で多くカバーされ、特に若い世代に浸透しました。

また「本物呼んでみた」シリーズがあり、近藤真彦さん、中島美嘉さんが出演し、日本の音楽番組では有り得ない番組を放送してくれました。

何と言っても、日韓歌王戦で日本代表として出演した歌手は韓国で大人気となり、その後は日本でも活躍の場が増えていきました。

東 亜樹 インスタ
住田 愛子 インスタ
かのう みゆ インスタ
MAKOTO. インスタ
福田 未来 インスタ
歌心 りえ インスタ

彼女たちの歌声やステージは、自国の出演者を応援するファンの人たちだけでなく、多くの韓国の方へ突き刺さる結果となりました。
日本からは生放送を見ようとすると、韓国サイトへアクセスしたりと若干ハードルが高かったですが、番組終了後にすぐに歌毎にYoutubeへアップロードしてくれたりと、制作サイドの努力も素晴らしく日本の応援者も多くの楽曲を見ることがすぐにできる環境が整った番組へと成長してくれました。

では、主な出演者を動画とともにご紹介します。下記出演者以外にも多くのアーティストが出演されましたが、どうしてもご紹介しておかなければならない方を記載しております。

歌心 りえ さん

何と言っても日韓歌王戦で出演者・視聴者全員が満場一致でNo,1と言ったのではないかと言われるくらい、文句なしの熱唱で「日本語はわからないが歌詞では笑ってよ!って言ってるのに歌を聴いて俺は泣いている」と言わせた「道化師のソネット」は、会場・視聴者を感動させ、この番組の女王と言われる絶対的存在でした。

福田 未来 さん

日本1位の女王として韓国へ乗り込み、持ち前の歌唱力を存分に発揮し「国民の初恋」と愛称をつけられるほど韓国の男性をメロメロにしてくれました。美貌もあり韓国の恋愛番組にも参加するほどに人気となりました。彼女が美味しそうにお酒を飲む姿は私も大好きです。

MAKOTO. さん

元KPOP研修生で韓国生活も長い彼女は、この番組にとって大切なポジションでした。歌唱を重要視していた日韓歌王戦後の、日韓トップテンショーではダンスも多く披露することにシフトしていき、彼女のスキルはさすが元練習生!ひとりだけ表現の幅が豊かでした。さらに日本語・韓国語ができることも演者の支えになったことだと思います。

かのう みゆ さん

バンドガールの彼女は番組の趣旨に一番遠いポジションだったようで、序盤は盛り上げ役になりそうな感じでしたが、トップテンショーへシフトしたら、JPOP担当として大抜擢、日本のPOPSの明るい名曲を熱唱し、KPOP好きな韓国男子を振り向かせ、音楽アニメから出てきた美少女アイドルの笑顔でファンを獲得する活躍をしてくれました。

住田 愛子 さん

間違いなく彼女がこの番組のシンデレラガールでした。アクターズスクール出身で、「歌良し」「ダンス良し」「ステージング良し」の日本代表ソロアーティストとして、若さあふれる笑顔でみんなを幸せにしてくれました。特にBoAをカバーした時はみんなが原石を見つけた!というくらい圧巻なステージでした。

東 亜樹 さん

日韓歌王戦・日韓トップテンショーを背負ってくれた功労者は、間違いなく彼女です。幼い頃から慰問ステージや路上で鍛え抜いた歌唱力は、どの歌を歌っても説得力が有り、演歌・民謡・POPS何でも歌いこなし、見る人全員を引き込むことのできる歌声は唯一無二の宝です。
この音楽番組の趣旨であるトロットを韓国語で歌いこなす彼女の姿は、努力を見せない自然体であり韓国の年配も魅了してしまうほどの解像度でした。日本からの出演者の中で最初から最後までずっと出演してくれた彼女。本当に感謝しかありません。
どうか今後も彼女にスポットライトが当たり続けることを願っています。

主な韓国側の出演者

毎回誰が出演しても見事な歌唱力でした。日本語曲を歌う彼女たちはそれぞれ魅力的で、このまま日本の番組に出演してほしいと思うくらい、素敵な歌声を披露してくれていました。
楽曲の理解度もかなりしっかりとしていて、研究・学習してくれてステージに臨んでくれていたことがよくわかりました。おかげで感情を揺さぶられることもしばしばありました。

<チョン・ユジン / 私の歌>

<マイジン / Endless Rain>

<ビョル・サラン / さちこ>

<キム・ダヒョン / なんてったってアイドル>

<リン / 北の宿から>

視聴者の不安と、出演者が苦難を乗り越えた番組でもあった

番組は出演者と制作者の努力のおかげだったことは間違いありません。しかしどこかパワーバランスが壊れかけていたこともありました。所属問題やイベント問題、日本では考えられない「ケンチャナ精神」は、もう少し長期ビジョンをしっかりとしてほしかったです。
もっと出演者に負担がかからない方法を選択してほしかったと思っていますが、次作の男性編でどう変化するかはしっかりと見守ってみたいと思います。

ついてに記載しておきますが、昨年2024年末に日本で開催された「歌うま女王日韓決戦」という出演者を侮辱したような番組は、日本の音楽番組のレベルの低さがわかった情けない内容でした。こんな番組しか作れないようでは日本の音楽番組は世界の誰にも相手にされないし笑われてしまうでしょう。出演者の皆さんがかわいそうで、日本人として恥ずかしい番組でした。

この番組への感想

上記にも感想を記載しましたが、あらためてまとめると、「歌手の音楽がちゃんと聴けた韓国の人気番組」でした。

日本に入ってくるのはアイドルのダンス曲ばかり。韓国はバラードだろ?なぜダンス曲なんだ? ロングランして、実際に聞かれてるのは全部バラードや歌謡曲じゃないか、なぜアイドル事務所ばかりに忖度してるんだ?と、疑問ばかりだったところにひとつの光が差し込んだ、そんな番組でした。

カバー曲ばかりでしたが、それは多くの人が本当に聞きたかった懐メロでもあり、隠れた名曲でもありました。歌番組なのだから「歌」を聞かせてくれないと困るんです。ダンス見せたいならBGM流せば?と思うくらいに飽和状態のKPOP番組の乱立の中に、唯一の「歌」番組でした。

日本と韓国の似た懐かしいメロディーや、聞きやすいトロットや演歌のメロディー、歌がはっきりとわかるPOPSなど、ご年配から若者までが楽しめる娯楽番組でした。

半年に一度でも良いので、このメンバーで続けてほしいと願っています。こんな個性豊かなメンバーを集めてくれた制作者に感謝したいと思います。