コーチェラで本気をみせてくれたLE SSERAFIM
コーチェラ・フェスティバル2024のLE SSERAFIMのステージはピオナの皆さんに衝撃を与えた瞬間だっただろうし、第四世代のギアアップを感じる見事なステージだった。
自分たちを知らないオーディエンスを楽しませる、そして自分たちも楽しむ、この大前提をやりきったと本人たちも思っているのではないだろうか?
正直なところ、アイドルのコンサートやライブで満足したのはFTIsland 以外なかった。(FTをアイドル枠で語るのも失礼なのだが)
しかし、今回のLE SSERAFIMのステージは、「コンセプトと演出」がしっかりとしていて、かなりハードなリハを繰り返して臨んできたんだろう。
いつものKPOPアイドルライブを無視し、完全にアウエー仕様のハードコンセプト、まさに祭り仕様のKPOPヨジャグループとして表現できていた。
前回のaespa、blackpink、2NE1の本国仕様のカスタマイズ版とは大きく変更して、とにかく「私たちと楽しみましょう」「一緒に今を全力で楽しんで」という本来の音楽ライブの基本、インディーズ感といままでの経験を上手くミックスしたステージングだった。
特徴よりもステージ重視
<ユンジン>
リードボーカルはLE SSERAFIMの生命線で、彼女のUSA仕込のアイドル感が、このアウエーステージを乗り越える一番の武器となった。彼女の体力に救われた40分ワンストップステージでもあった。
<ウンチェ>
ビビり具合が見て取れる序盤だったが、あのステージでPOPアイドルとしての笑顔とcuteな姿を懸命に表現しようとしていた。10代のお嬢さんはこの経験から多くのことを学べたのではないだろうか?
<カズハ>
今まで見せていない別人と思えるような違和感ある不思議な感覚だった。全身に溢れ出すエネルギーが若干セーブされているように感じたが、それはこのステージを成功させようとする不安があったのか?
<サクラ>
オープニングから top of top のアーティストのような立ち振舞で、最初に目に飛び込んできたのは彼女だった。LE SSERAFIMは、こんなバンドだ!とオーディエンスに訴えかけるバンマスの姿は圧巻。
<チェウォン>
Rockモードのリーダーは、コーチェラに必要不可欠な存在だった。リーダーとしての覚悟と背中を見た仲間は、安心感を感じながらパフォーマンスできただろう。キュートなLOVEリーダーが革ジャンをまとったらステージのセンターを支配できるチーターだった。
40分間 中だるみ無し
今回のステージは今後のコンサートの基本コンセプトとして固定しても良いのでは?と思えるくらいに綺麗な演出だった。HYBEらしい炎のエフェクトが今となってはHYBEらしさとなったのも「まぁHYBEだし・・・」で許せる演出に思えてきた。
そしてバックバンドがあるおかげで、サウンドの厚みでLE SSERAFIMに足りなかった「勢い」が追加され、彼女たちが暴れられるステージが整い、そこにはいつもの音楽番組アイドルの姿は無かった。さらにコンサートで見せていた姿とも違い、日本語で表現をすると「気合い」を感じ、オープニングの5人は「やる気のオーラ」の目100%で登場した。
ヨジャアイドルにこのオーラを感じたのは初めてだった。
自分がインディーズ時代に、アウエーに来た対バンの眼つきに似た攻撃的とも感じる、音楽に対してストイックな態度をアイドルのLE SSERAFIMから感じることができるとは正直思っていなかった。
彼女たちを推している人たちは胸を張って「グルービーなガールズロックアイドルグループ」だぞ!と言って良いんじゃないか?
<まとめ>
コーチェラ仕様のダンス構成で歌への負担を減らし、それぞれが数秒ずつセンターで歌い表現していく流れは、「これでいいじゃん!」と実感した。ダンスするだけの曲じゃないんだよ、歌って表現するのが曲なんだよ。あらためてスポットライトで輝く曲を聴けた。
美しいだけのグループ、歌が上手いように歌えるグループ、個性を売りにしてバラバラなグループ、曲は良いのに表現不足なグループ、そんなのばかりのアイドルグループ時代で、ほんの一握りだけが生き残れる。
歌唱力やダンススキル?そんなのは最低限度あれば大丈夫。それ以上の「ライブグループ感」が、音楽の喜びを教えてくれる存在じゃないか?
ピオナの皆さんは誇りに思ってほしい。彼女たちはアメリカで堂々とやりきったぞ。
そしてHYBEは、もう少し整理してほしい。今彼女たちに必要だったのはコーチェラだったのか?それは確実に違っただろう。5人が心身ともに成長過程である中、まずはやりきれるだけのチーム組織が不十分で、負担の大半が表現者に偏っているではないか。この点は二十歳前後のお嬢さんたちだけで受け止められる状況じゃないだろ?マネージメントリスクが不足していることは誰の目からみても明らかだった。猛省してくれ。
まだ方向性すら確立できていないグループを海外へ持っていくことの危険性くらいわかるだろう。もっと足元をしっかりと固め、母体にしっかりとした骨組みができてから勝負してくれ。それを確立しているのはSMエンターだけじゃないか。会社の歴史をしっかりと作っていかないと、ファンとアーティストは離れていくということを今一度考えてほしい。